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表向きのデザインだけ変えればいいのかの話

2月に入って最初の月曜です。節分です。外は比較的暖かいようですが、この事務所は壁が厚いせいか、前日誰もいなかったりすると外の方が暖かいということが多く、まさに今日もそんな感じ。日が暮れるのもずいぶん遅くなって来た。

想像力を働かせて、と言うか、ごく初期段階での白昼夢(笑)を働かせて手を動かすサムネイル段階は、それはそれは楽しい時間ではあります。こんなのがカタチになればいいなぁとか、これで驚く顔が見れるかなとか、喜んでもらえるかなぁとか思いながらデザインしてる時間ですね。まぁ、最初のこういう段階ではかな〜り自己満足に陥っていて、翌日見てみたらこっ恥ずかしいものだったりするんです。

10年くらい前まで音楽CDのジャケットデザインを少々やらせていただいてた時は、クライアントからこんなデザインでお願いしたいと、もうアイデア出来ちゃってるぢゃん!みたいな要望はあまりありませんでした。むしろそこを考えるのがあんたの仕事でしょう!という風潮だったのだけど、徐々により売れるためにはどういうパッケージがベストならずともベターか?という流れになって行きました。

これは音楽の世界だけでなく、あらゆる業種のモノを売るためのパッケージデザインからその広告のあり方まで、いわゆるマーケティング的なものに先導されながらのデザイン探求ということになっています。そしてそんな風潮ならもうデザインなんてやってられるか!とデザインの世界から去って行ったデザイナーの方々もおられます。

個人的な印象ですが、そうなって来たころってインターネットが出て来たというのがありました。メールが一般的になる前、ニフティというパソコン通信サービスがありまして、それでライターから文字原稿のやりとりをしていた時代がありました。そして段々と「メールアドレス持ってます?」が人と会うと出てくる言葉になりまして、そのうち「ホームページって作れますか?」と聞かれるようになった次第です。

もっと言うとインターネットがどうこうの前に、パソコン(Mac)が使えないとデザインは無理!みたいな風潮もあってそれに反発する向きと、新しい面白い道具が出て来てそれを楽しむ向きと2つの流れがあったと思います。

資本主義ってたぶん、隣のアイツが持ってるからオレも欲しいっていう仕組みで成り立ってたと思いますが、大抵のものはそこそこの値段で売ってるし、情報とか、その他デジタルデータに置き換えられるもの、映像だったり音楽だったりですが、まさにネット上に存在しないとこの世にないと同じ!くらいの勢いです。そして大抵のものが検索によって存在の有無が調べられるし、閲覧も出来るんであれば、そのCDなりDVDなりはこれまで以上の付加価値というか、わざわざお金を出して買う必要のあるものにならないと、なかなか売れないものになってしまったわけです。

我々デザイナーはどうしてもあっちのあれよりこっちの“いいデザイン”で勝負だ!と思ってデザインに取りかかります。ま、それは当然あるべき姿勢であり、心がけでないといけないでしょう。だけど自分でメーカー立ち上げて売ってみようとした経験とか、ネットショップの運営とか手伝っていると、モノが売れる売れない、支持されるされないといった状況って、単なる表面的なデザインの差異でなんとかなるもんぢゃない、というのが見えてしまった気がしています。

これはデザイナーとしての自分の敗北か!?なんて大袈裟に思ってみたりもしましたが、多分今の時代、デザインだけやって渡すだけではダメで、もっとクライアントと協議して何を誰に向けてどう伝えるのかという、グランドデザイン的なところからのスタートが必要なんではないかと思ったりしている次第です。

そんな大きなビジョンで成り立ってそうな会社、ブランドってパッと思いつくところではAppleかなぁと。音楽の世界だと、ギターで言えばGibsonやFenderとか。それぞれの分野でそれぞれの名品ってあるわけですね。古くからのAppleファンの中にはもはやAppleなんて家電屋だ!みたいな言い方する人もいるようですが、日立やら東芝やらと同じくらい製品数あるかと言えば、全然ない。Appleの製品なら全部名前出て来そうなくらいしか数はない。と思うんだけど、それでもものすごい売り上げで時価総額だ。

役に立たないビジネス書よろしく、Appleのような企業の成功事例ばかりを取り上げてデザインだのブランディングだの知ったかぶって語っても自分には意味がないのですが、どうも個々のデザインだけぱらぱらと考えてるだけでは、長続きしないというのは見えて来たような気がしてます。

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